小学校の授業に潜む罠
「小学生のときは好成績だったけど、中学生になってから成績が低迷し始めた。」という話を耳にしたことはありませんか?小学校のテストではいつも100点だったのに中学校に入った途端、授業についていけなくなった。これは、よくあるケースです。よくあるケースなのですが、成績が下がった原因が分からず、どこで道を踏み外したのかが分からないと思い悩む保護者の方が多いようです。まずは、この原因を突き止めていきましょう!
結論から言うと、小学校が「基本的な知識を身につける」ことを重要視しているのに対し、中学校では「思考力・判断力」を鍛えることを重視するという小学校と中学校の授業スタイルの違いが多くの子どもを罠に貶めています。小学校の授業は、子供の成績に優劣をつけてふるい分けるというより、成績不振となるような脱落者を一人も出さないことを重視しており、「全員が理解できる授業」がコンセプトであると言ってよいでしょう。しかし、「全員が理解できる授業」という隙のないコンセプトに思えるからこそ、引っかかりやすい重大な罠があるということを忘れてはなりません。
多くの子供は基礎学力を小学校で身につけて中学校へと上がっていくのですが、多くの子供は中学校の授業スタイルが小学校のときの授業と大きく異なっていることに驚きます。中学校の勉強の目標は、基本的な知識を身につけることではなく、「新しく得た知識を使いこなせるかどうかという思考力・判断力を身につける」ことにあります。この思考力・判断力は、中学校において子どもの学習能力の優劣を決める最も重要な要素の一つとして数えられます。
しかし、小学校のときは、「全員が理解できる授業」というあくまで基本的な知識を身につけることに重点を置いた授業スタイルであったために、中学校での勉強で非常に重要な思考力・判断力を鍛えることが疎かになりやすいのです。中学校の授業は、一度周りに遅れを取ってしまうと、その遅れを取り戻すのは至難の業なので、このように小学生のときに身につけた思考力・判断力の差で周りの子どもとの学習能力にどんどん大きな差が生まれるようになっていくのです。小学校のときは基本的な学力が身についていれば、それだけで好成績につながってしまうので、子どもだけでなく、保護者も、子どもの学習能力(思考力・判断力)が高いと錯覚を起こしやすいというのも罠に引っかかりやすい原因でしょう。このように、小学校の授業では十分に伸びきらない思考力・判断力を、小学生のうちに鍛えておくことが、周りの子どもからリードを取るために重要であると言えます。塾は、成績が悪い子が行くところというイメージを抱く保護者の方が多いですが、好成績だからこそ塾に行き、思考力・判断力を伸ばしてあげるべきなのです。
なぜ、思考力・判断力が重要視されるのか
中学校の勉強のコンセプトは、「思考力・判断力を鍛える」ことだと先ほど述べましたが、ではなぜ、中学校の勉強はそんなにも思考力・判断力を重視するのでしょうか。それは、「受動的ではなく自分の頭で考えるという主体的行動ができる人材」というのが社会で求められているため、中学生のうちから鍛えておく必要があると学校側は考えているからです。実際、2020年度で廃止された大学入試センター試験に代わる試験として導入される「大学入試共通テスト」は、センター試験のときは十分に問われなかった思考力・判断力を問うことをコンセプトとして作成されています。大学受験において、思考力・判断力は受験生をふるい分ける重要な要素として取り入れられていることは理解頂けたでしょうか?かなり先走った話になりますが、長期的な目線で見れば、この思考力・判断力を鍛えることが将来の最終学歴に直結すると考えられます。子どもの未来を切り開くために、思考力・判断力は重要であると言えます。
今じゃなければいけない理由
「思考力・判断力って小学生のときに十分身につけていなかったとしても、中学生になってからみっちり特訓すれば大丈夫でしょ」と考える保護者も多いと思います。しかし、これは間違いです。子どもの学習能力である記憶力・思考力・判断力などは、小学校低学年から高学年にかけて著しく発達します。この発達期により多くの情報を子どもに与え、自分で考えさせることで学習能力を大幅に高めることができます。しかし、この発達期は小学生のときをピークに終わってしまいます。つまり、中学生になってから基本的な学習能力は成長しにくいので、吸収力が非常に高い小学生のときに思考力・判断力を鍛えておかなければならないということです。この小学校のときに鍛えた思考力・判断力の差が、後々「学力スペック」を生み出す原因となっているのかもしれませんね。